読みはじめてすぐに背筋がゾクゾクした。会計検査院の話で、こんなにワクワクさせるストーリーが作り出せるのか。しかも、これは経済小説ではない。万城目学さんの小説だから、どこまでも明るいとぼけた話になるはずだろう。シリアス小説にはならないはず。一体どういうふうに話を着地させるのか。
本の内容については言いたいことがたくさんあるが、触れることはできない。また、内容をほのめかすこともできない。だから、感想を書くことは難しい。仕方ないので東京の人からみたこの本の感想を言えばいいだろう。
まず、現実的どうこうというより、心情的にはありえる話だ。阪神タイガース好きをみてもそうだ。ちょうど先日、道頓堀に投げ込まれたカーネルサンダースの人形が見つかったということでニュースになっていたが、大阪の人の行動は東京の人からみると、奇異である。日本語もかなり違うし。正直違和感を感じる。となると、この本の世界は、心情的には現実なのかもしれない。
つぎに、歴史をどうとらえるか。歴史上の人物にたいして、誰に親近感を持つのか。東京の人だからといって、江戸に幕府を開いた人に親近感を持つわけではない。江戸八百八町の岡っ引きにそういう気持ちを抱く人もいるかもしれないが、ぼくは誰にも親近感をもてないでいる。これは悲しいことかもしれない。でも、大阪の人はトヨトミに親近感を持っているのかもしれない。そういうところがわかると、登場人物の名前をみてピンとくるのかもしれない。
ホルモーは映画化し、鹿男は人気ドラマになった。ならばこの話も実写化の動きがあるかもしれない。しかし、これはちょっと難しいのではないかと思う。というのは、実写にしちゃうと、この話の面白さが消し飛んでしまうかからだ。実写の目的には「映像によって、話を現実のことか思わせること」という側面がある。これは本当のことか、と思わせるようにセットを作ったりする。ところが、この話でそれをやるとなんだかおかしなことになる。現実ではないという約束のもとで話を展開しているから、現実にしてしまうと面白さがなくなってしまうような気がする。うまく説明できないのだけど。
ともかく、京都、奈良、大阪と舞台を変えてきた。次の作品は神戸あたりなるのだろうか。待ち遠しい。