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ニッポンの名随筆別巻44記憶

養老孟司編
作品社
お勧め指数 □□■■■ (2)
購入店 八重洲ブックセンター

 上手なエッセイを読みたいなと思っていたところ、日本の名随筆集というシリーズの存在を知った。数十冊のシリーズであり、一冊毎にテーマが決まっており、そのテーマにあった名随筆をそのテーマの一人者が選定して編んである。タイトルと著者とから判断すれば、この本は相当すばらしくうなってしまうようなエッセイがありそうだと思ってしまう。だから古本で購入してみた。
 が、しかし、時代が合わないのだろうか、ぼくがばかのか、どれひとつ面白くないし、日本語として感心するようなものもなかった。選者は養老孟司さんなので、おかしなことになりようはないはずだ。きっと、数十年前の文章やその当時の生活様式、人々の興味の対象が現在のぼくとはあまり重なるところがないのだろう。つまり、随筆の対象となる物事に関心が持てないのだ。ならば、面白い文章として読めるはずはない。仕方ないだろう。
 これはこれで一つの発見だった。古い日本の文章を読むための障害は送り仮名や漢字の違いだけでなく、随筆の対象となる物事にもあるのだとわかったから。
 となれば、当時の人々はそもそもぼくとは別の人たちということになる。たった数十年の違いなのに、えらく違う人たちに思えてくる。人はあまり変わらないと言われている。科学による知識、技術による生活道具の変遷はあるかもしれないが、所詮人は同じようなことを考えているという意味だ。でも、違うんだなぁ。
 名随筆と言われるものは、どうやらぼくにはあまり合わないらしい。日本語能力の貧困さが原因なのか、生活様式の違いが原因なのかははっきりしないが、過去の資産の一部である名随筆は、ぼくにとってあまり意味がないものだとわかり、かなりがっかりしている。

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