休日にゆったりした気分で読むとよい。素敵な物語でも癒しでもない。とくにビックリするような内容ではない。今の生活が結構気に入っていると思っている人ならば、いわゆる勝ち組の人でも無い限り、この本で紹介されれる方法を自分なりに実践しているのではないかと思う。「そう言われて見れば、おれもそうしているよね」という具合に頷いてしまう部分が多いので、ついつい一気読みしてしまった。この本は、読むことで何かを学ぶという姿勢で読むのはお勧めできない。なんとはなしに聞こえてきたラジオで池田清彦さんがしゃべっているのを耳にして、ついつい番組の最後まで聴いてしまった。そんな感じの読書がいいだろうと思う。
NHKのブックナビという番組で南伸坊さんがこの本を紹介してた。そのとき、「よい本です。いや、ぼくは内容わすれちゃったんだけど、読んでいるときには全くそうだなという気分がした」と言っていた。普通ならばこんな紹介ありかよと思うかもしれないけど、この本の紹介ならばこれでいい。
本にもいろいろ種類があって、読んでいるその時にうれしい気分になるのだけど、読み終わって振り返ってもなんだったけなと思い出せないものがある。音楽のようなもの。「詩」とちがって論理をつかって物事を説いており「よくわかった、記憶しておこう」と思ったとしてもすぐに忘れてしまう。こういうものはノートとっても意味がない。そもそも、だれも試験にださないから。
人の言葉には、言葉として記憶されることに意味があるものと、理解して考え方や行動に直接影響を与えてしまうものとがある。テストの材料になりうるのは前者である。ところが、学校社会から卒業した後に意味をもつ読書は後者のほうである。それはオトナの読書とも言えるかもしれない。宗教の聖典とは違うのだから、行動と無関係なものは必要ないような気がする。どうせ先が限られていることだし。
池田清彦さんの本を読むようになったのはここ数年だが、読んだことがぼくの行動を大きく変えている。ぼくの仕事の取り組み方は周りの人とはかなり違うし、その方向もかなり別なものになっている。10年たつと信じがたいくらい軌道修正してしまったことになるだろう。それほどの影響を与えた人の本に大きく頷けるのだから、ぼくはそれなりに学べたのだろう。