« 養老孟司の旅する脳 | メイン | ウィンナ・ワルツ »

小説の読み方

平野啓一郎
PHP新書
お勧め指数 □□□■■ (3)
購入店 八重洲ブックセンター

 前作『スロー・リーディング』はとても良い本だった。読んだ本の冊数を増やすことに気を取られていたぼくには、目から鱗の本だった。本を読むとはどういうことか、今の読み方で何を見落としているのか。こういったことを教えてくれた。著者には感謝している。
 その人の二冊目である。(いや、小説はたくさん著作があるが、ぼくはこの人は新書しか知らないので二冊目といった。)この本も新しいことを教えてくれるだろうあと思って、躊躇せずに購入した。
 今回は「小説の読み方」を教えてくれるようである。しかも明示的に。本文において、何に着目するのかを逐一提示している。
 なんだか参考書のような感じがする。というのは、各章には目的や狙いが示され、例題として小説の断片が引用されているからだ。それを著者のアドバイスにしたがって読むことになる。試験勉強だよ、これだと。

 次の考え方がこの本で一番印象に残った。どんな小説でも「メカニズム、発達、機能、進化」の四つの点にしぼって考えればいい。メカニズムと発達は、個人を対象として注目するべきことで、機能や進化は個人が集まった社会や集団を考えるときに着目するべき指標だというのだ。そして、メカニズムと機能、発達と進化は対象が違うだけで、やっていることは同じなのだと。
 そうか、と納得した。この四つの切り口は小説を考えるときだけでなく、もっといろんなことに適用できそうである。物事を考える上で、具体的な一例を見るときとその集団やクラスを見るときで、何を取っ掛かりにすればいいのかの参考になる。

 そんなことをうれしく思いながらこの本を読んでいたら、あっさり読み終えてしまった。ただし、それは必ずしも「良かった」と言う意味ではない。ぼくは、「四つの着眼点」以上に面白い箇所が見当たらなかった。だから、この本の評価は微妙である。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.significa.jp/scienza/BlogMgrMt/mt-tb.cgi/745

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)