パオロさんの新刊が出たので購入してみる。前作の『コドモダマシ』がもう一つだったけに少し不安だったが、この本もダメだったら次は読まないことにしよう。また面白さが復活していることを期待して読み進める。
出版社のWEBマガジンに毎月掲載されていたコラムのようなもので、エッセイというよりも、現代の日本社会に対する提案が書かれている。連載当初は気合いが入っていて面白いけど、時間が経つにつれてネタが尽きていくためかテーマ選びに芯がなくなり、内容もおなざりになっている。ただし、最初の1/4くらいはめちゃくちゃ感心する内容で、この部分だけでもこの本を買ったかいはあるなととは思う。
この本では、日本を面白くするためのちょっとした工夫のような提案をパオロさんがしている。もちろん、物知り気な態度で説教するような人とは異なり、あぁそうか、というアイデアをぽこっとだしてくれる。それが面白い。
例えば、最近の若者はどうして地べたに座るんだろうか、という社会問題に対する提案。一頃は電車のなかでもドア付近でしゃがんでいる邪魔くさい高校生がたくさんいたが、最近は見なくなっている。また、コンビニ前でたむろって入る中学生もいない。もっとも、ぼくの電車利用やコンビニへの立ち寄りなどは彼らの時間と重ならないからそうみえるだけで、今でもひどいことになっているのかもしれないが、それは分からない。この問題にたいしてパオロさんはこういう。なぜ、地べたに座るのか。それは、椅子がないからだ。
はー、あー、そうかぁ。確かにそうだよ。電車は混んでいるし、商店の前にベンチなんてないからか。確かに、もしあったらそれを利用するね。そういわれてみれば、コンビニ前にベンチがある気がする。あれは、そういう理由だったのか。
ヨーロッパの町には、わりとベンチがあるような気がする。有料でいいならばカフェがたくさんあるし、街歩きの人のためのベンチもそれなりにある。でも、日本の道路はそもそもごみごみしてるし、駅前は自転車だらけだし、そもそも街を歩く人のための「街が提案する演出」のような発想はそもそもない。
ぼくが週末かならず立ち寄る神田神保町のすずらんどうりには通りに床几がでている。商店街の企画なのだと思う。それは必ずしも有効に使われていないかもしれないけど、そ通りの心意気はしっかりと感じる。提供されているものが即お役立ちにならなくても、道行く人に対する無償のサービスにはなんとも言えない感謝の念が湧いてきて、感情的にその街が好きになってしまうものだと思う。ならばベンチ一つ店の前に出すサービスは、地べたリアン対策だけでなく、長い目で見るとお店のためになる行為なんじゃないと思ったりする。
などということをぼやぼやと考えているうちに全部読めてしまった。しかし、この本の半分以降は、なんだかダレダレになっているようでもうひとつだった。