加藤雅彦さんの本を集中的に読んでみることにした。amazonで古本をかき集めてみた。まずは手軽な新書から。タイトルはライン河。『ドナウ河紀行』という新書もでているが、そちらを後にまわす。
ヨーロッパの歴史について、ぼくには塩野七生さんのローマ人の物語の印象が強く残っているので、ライン河はガリアというかローマ世界とゲルマン世界との国境というイメージである。カエサルのころから進化してない理解なんだろうけど、仕方がない。高校、大学では世界史をろくに勉強しなかったので、中世から近代、現代にいたる間でライン河の位置づけの変遷を知らない。知らないので未だにローマ世界とゲルマン世界との国境の河という認識のままである。まったくもって、不勉強なことだ。
この本を読んで、ライン川沿いの国の混乱を知った。なるほど、だからアルザス・ロレーヌ地方の話はややこしいのかと納得した。最後の授業もこの辺りの話なのだろう。歴史のなかで、ドイツになったりフランスになったりを繰り返す地方では、なるほど「複雑」な政治が必要なんだ。それは今でもそうだろうし、戦争技術が進んだ近代になってから、ろくな目にあってない理由もわかる。
教科書のような歴史本は大抵つまらないけれど、加藤雅彦さんの本はついていけるところが不思議である。なぜだろうか。ぼくの感想だけど、歴史を語るときに話の芯を明確しているところだろう。あれもこれもという事実の羅列をしないで、ある一つのことが理解できるように、その芯について「なぜだろう」と問う姿勢がよい。そこからつかずはなれず歴史を解説してくれる。だから、歴史の本としてめずらしく「人が理解して分かる」内容になっている。こんな本は初めてで、この先巡りあうことはないかもしれない。なので、この本を読んでライン河周辺の歴史を概観してしまったつもりになっておこう。