« 英語は多読が一番! | メイン | 「教養」とは何か »

仕事でいちばん大切なこと

アルボムッレ・スマナサーラ
マガジンハウス
お勧め指数 □□□□□ (5)
購入店 amazonマーケットプレース

 これまで全く思いもしなかった考え方があった。

 たかが仕事ではないか。

 そうか、そんなことを口にしてもいいのか。

 生きるとは何かを本気で考えはじめ、幸せとは何かをあれこれ考察し、どうやって生きていこうかという問題と正面から対峙するようになれば、仕事という言葉が持つ価値観の「社会からの押し付けられた側面」に気づくはず。社会という生き方では、個人がもつべき「仕事に対する勤勉性」が需要な要素であるから、「たかが仕事ではないか」などということは決して人々に肯定されてよいはずはない。ところが仏教という「社会の外」ならば、そういう発言はあり得るのか。なるほど。

 ほぼすべての人にとって、仕事は生きていくための手段である。ならば、仕事が生きることよりも大切なわけがない。ところが「仕事が大事」という命題が人々がもつべき信念や価値観である。他人の信念を曲げさせるつもりはないけれど、でも多くの人はそれを信念として持っているのではなく、手段が目的になってしまうという、よくある勘違いをしているだけではないのだろうか。

 仕事が大切だ、と主張する人は一体誰なのか。雇用者だったりしないか。やみくもに「仕事=人生」的なことを口にする人をよく見てみよう。

 職人がそう口にすることに違和感はない。ただし職人は「自分のこと」についてのみ言及しているはずである。自分はそうなんですよね。こう言っているはずで、他人に対して仕事=生きるという考えを押し付けたりはしない。そんなことをいう人は、奴隷にむち打つ気分に違いない。

 社会から暗に要請された価値を無批判で自分のなかに入れてしまうと、自分の境遇あるいは不幸に対しての恨みを気分的に消化できなくなるだろう。

 生きることと生きる手段とはちゃんと分けて考えないといけない。簡単なことだが、この本を読まなければ気づかなかっただろう。スマナサーラ長老にはとても感謝いるのである。