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ブルー・アイランド氏の クラシック質問帖

東京書籍
青島広志
お勧め指数 □□□□■ (4)
購入店 三省堂本店

 表紙を見て買ってしまった。このオジサン、何度かテレビで見たことがある。早口なのに論旨は明解で、ともすれば難解にしゃべることが知性があることに勘違いしている解説者が多い文化教養評論家にもかかわらず、語彙も平易なものを使ってくれる。だから「わかりやすい」ので好きなのだ。

 音楽の解説というと、カッコつけたオッサンが知的っぽさを振りまくような物言いが普通なのに。どうして門外漢の人にはさっぱりのことを言うのだろうなといつも音楽番組の解説者を見て思っていたものだ。NHKなどその典型。それじゃぁ普通の人がクラシックに近寄り難く感じるのもむりないよ。

 一方で、このオジサンは逆。偉ぶるところなどない。自分が理解したものを明晰に順序よく語ってくれる。だから、あれ、ぼくにわかりそう、という印象を与えてくれるのだ。なるほど民放の番組でよく登場するのも頷ける。

 内容は普通の人がクラシック音楽に対して抱くであろうことをQ&A形式で列挙している本である。クラシックのコンサートに行くときにの洋服はどんなものを着ればいいのかといった具体的なものから始まっている。そういうことは「本質でない」という人もいるかもしれないけど、いざ自分で行動を起こすときにはこういう「つまらないことが障害となるのだ。そのことを著者はわかっているのだ。普通の人向けの音楽の本なんだな、とうれしくなる構成である。

 本文にはイラストがたくさん入っている。それらはすべて著者のものらしい。オジサンなのにこんなマンガを書くのか。見ているとこちらが恥ずかしくなるような稚拙さや嫌な感じがない。自分で書いた記事に自分でイラストをつけるのが好きなのだろう。趣味ではじめたことでも長いこと続けているとかなりの腕前になるということだ。へぇ、ぼくもやってみようかなと思ってしまう。

 クラシックを今の社会で盛んにするには、大勢の人にコンサートへ来てもらうことがまず必要である。マニアの数は限られているので、普通人を呼び込まなければならない。音楽といえば歌謡曲という普通の人たちにクラシックへ関心を持ってもらうには、普通の人に語りかける言葉を使える人が必要である。「おれは偉い」とか「教養」といったことを言外に述べるような人ではなだめだ。普通の人が疎外感を感じそうなところを取っ払うことにこの本は成功している。

 講義でなく質疑応答形式でも本は成立するのだ。ぼくですら飽きないで最後まで読み通せたのだから、退屈しな本だということだ。こういう方法は音楽以外の分野にも適用可能だろう。問題は、その分野にこういう人がいるかどうか。古典文学にもいないかしら。