« その「エコ常識」が世界を破壊する | メイン | 世界が愛した日本 »

大麻ヒステリー

武田邦彦
光文社新書
お勧め指数 □□□□■ (4)

 武田邦彦さんといえば環境問題、とくにリサイクルを論じる人だと思っていた。が、大麻についての著作があった。何でまた麻薬について語っているのだろうか。この本のタイトルが何かを主張しているようでもある。興味にまけて購入したのだが、多少無駄遣いの感もないではない。

 一読して納得した。要するに、大麻=麻薬ではない。にも関わらず、最近多くの人が大麻草の扱いによって吊るし上げられている。それを見ちゃいられなくなった。そんな動機からの執筆のようだ。ホント、マスコミの報道が多いから最近。

 この本で著者の考える過程を見る事で、「考える技を見つけた人はどうやって主張するのか」を学べた。疑問から仮説をつくり、それを現実に照らし合わせて検証する。口では流暢に行程を説明できるけど、経験が豊富な人でないと実際に実行できないであろう。
それに、世間で流布している主張には根拠がないことや誤りが多いことを知っている人でないと、あえて実行する動機がないだろう。

 科学を身に付けた人が社会にどんだけ正当な提言ができるのか、その凄さにあらためて感心した。現実をきちっと把握できる科学者の数がその社会の今後を示している。そう考えても大げさではないだろう。決してマスコミ報道の量はその国の知性の指標にはならない。

 最近は麻薬関係で逮捕される有名人の報道を多く耳にするが、そのうちで大麻がらみで逮捕される人についてはもうちょっとなんとかならんのだろうかという疑問をこの本は発してる。現行の法律で大麻草を所持しているだけで逮捕されることになっているが、近代史をちょっと振り返えり、そして普通に考察するにつけ、大麻草くらいでその人の人生を全損させる必要があるほどの犯罪なのだろうか、という提言なのである。そして、否、そんなことはない、が結論。

 大麻草というものは戦前の日本には普通にあった植物だそうだ。麻がつく地名には、大麻がたくさん樹勢していたということだそうだ。

 一口に大麻といってもいろいろあり、日本にある大麻からはそもそも薬物成分がとれないそうだ。それに、大麻の薬物成分は身体に残らないということだ。タバコの方が問題だろうし、交通が激しい街道沿いに済んでいるこがよっぽど身体によろしくない成分を吸い続けているのだろう。

 いわゆる「常識」には、歴史的な理由によって誤りがあるものである。それが生きていく上で不利になることもある。それに気づき、その妥当性を判断するためのプロセスはこの本での著者のような方法を使うのだろう。科学的な思考をマスターするってのは、生きていく上で有利なんだ。よくわかった。

 とはいえ、それが世間の常識にあらがうものであれば、一悶着しないではすまない。社会を変えるための方法としては、扇動や恐怖を利用するほうが効果が絶大なのも事実である。

 地球温暖化もこの大麻問題のように、科学的根拠からの提言ではなく、政治的なアジテーションが科学を装っている。そういうのからどうやって距離をとればいいのか。まぁ、この著者の本をもうちょっと読み込んでみよう。