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黄昏のベニス

安野光雅
文藝春秋
お勧め指数 □□□□■ (4)
購入店 小宮山書店ガレージセール

 安野光雅さんの画集なのだが、全体を透して描かれているエッセイというか説明というか、ベネチアでのことなどの文章がさわやかで、絵を見ながらちらちらと読んでいくのがとても快感だったので、この本もメモとっておくことにした。

 安野さんの絵は淡い水彩画で、鉛筆?の下書きの線がふわふわしているところに置かれている水彩の淡い色合いがなんともやさしい。こういう水彩画ならば描けるかもなどと思って真似をしてもとても無理なことは、素人であるがぼくが自分で試して知っている。

 安野さんの文章はといえば、気取らない調子で現地でのちょっとした思い出が書かれていて、まるで安野さんが椅子に座ってこの絵を写生しているときに、その横に立って話を聞いているような気分になれるものである。絵を描きながら話すことならば難しいことや面倒なことや嫌な気分になったことなどが一切話されない。この絵につけるには一番あった文章である。

 とくにいいなぁと思ったのは塩野七生さんの『海の都の物語』からの話。安野さんはこの本をずいぶんと読み込んだそうだ。滞在先のホテルで忘れたこともあるが、そのたびにあたらしく買ったとか。

 ぼくもヴェネツィアを訪れたとこがあるので、絵を見るとヴェネツィア独特の雰囲気とうか空気というものが思い出され、ページをめくりながら自分の楽しい思い出の中をぶらぶらと歩いているような気分になれた。

 古本で150円程度でこの本を買った。ここ最近あった良いことので一番である。