断る力
勝間和代さんの思索がいろいろとつまっているが、その断片どれもが面白くないので驚いた。この本なぜ売れるの? 要するに勝間さんがビジネス書で学んだことの「総合テスト」の模範解答になっているからだろう。典型的な良い娘の考えそうなことだし、だれも反論しないようなものなのだ。もちろん、一つ一つはきちんと考えられているし、これまでのビジネス本的なアイデアを踏まえて各論を展開しているから、決して胃いい加減な本ではない。おそらく間違ってもいない。だからと言って、面白いわけではない。人間の感想なんて実に不思議なものだ。勝間和代さんがそういうタイプの著作をもつ人だと知っていたら絶対に買わなかったのに、とがっかり。 面白い本というのは、正確な知識をもとにした記述や豊富な引用にあるのではない。独自の切り口で考察し、今までにない新しい見方を提示してくれるものだ。そういものとは大局的な模範解答には、好きではないというよりも反発すら覚えてしまう。 この本がビジネス書として売れたらしい。その理由は、ひょっとしたらビジネス本を読読破したい人のショートカットとしてなのかもしれない。いわゆる売れているビジネス書を読み込み丁寧にまとめ、そして「依頼を断る」を具体例としてつけてある新書。理想的な手っ取り早いサラリーマン通勤時の教科書といえなくもない。一冊読めばいろんなビジネス書を読んだのと同じなんじゃないか、というお気楽な期待ももてる。もちろん、著者のキャラクターに魅かれてというのが一番の理由だろうけど。 しかし考えてみると、こういうビジネス書はあまり無かったような気がする。ビジネス書好きな人たちの到達点だから。ビジネス書を読んでいけば、いつかこういうことを考えられるかもしれないという希望。でも、全く面白くない、としか言い様がない。面白い模範解答なんてあるわけないのだから。 これまでにないような視点を提示してくれないならわざわざ読む必要がない。問題は人それぞれ違うのだから、そうなると見方考え方くらいしかそれぞれの人には実際役立たない。大前研一さんの古い本を読むほうが、よっぽど勉強になるよな。勝間本は以後手を出さないことにする。 |
