化粧する脳
茂木健一郎さんの研究室で博士号を取得された人の研究をベースにした新書である。本書をコアになる内容だけにしぼったら1/4の厚さになり、新書としては成立しない。だからだろうけど話を膨らませすぎ。本題の周辺の説明ばかりが目立つ。もちろん、本書のどのトピックも茂木健一郎さんなりにきちっと解説しているのだが、尊敬し得る「良質な考察過程」はもうここにない。知っていることをそれらしく並べてあるだけ。言って見れば広告代理店の仕事である。ビジネスライクな本を掴まされると心底がっかりする。 この本で展開されている考察はfMRIの結果に基づいている。fMRIは便利な機械である。今まで適用されなかったことに提供すれば発見が得られ、論文が書けるから。機械は考察のための道具の一つでしかないが、機械の出力の解釈次第でいろんな展開が得られてしまう危険なものである。科学は考えた事と実験とをすり合わせる行為なので、実験の質しだいで科学成果の質も変わってくるのである。この研究者には鮭もお化粧が好きなのかもしれないという可能性を考察してもらいたいものである(Dead Salmon's "Brain Activity" Cautions fMRI Researchers) |
