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頂きはどこにある?

スペンサー・ジョンソン
扶桑社
お勧め指数 □□□□■ (4)

 『チーズはどこへ消えた』を読んだことがある。なるほどなぁ、そうだよなぁ。いたく感心した。ようするに「自分から動け」ということを教えるおとぎ話なのだ。そりゃそうだ、という自明なアドバイスに恐れ入ったのである。

 ただし、ちょっと経ってから考えると、その当たり前のアドバイスは当たり前であるがゆえにアドバイスにならないことに気がついた。「母親の愛情は子供にとって大切なものである」というメッセージと同じで、そりゃそうだろうよ、で終わってしまうたぐいのような気がしたのである。次の一歩を踏み出すアドバイスは書かれていない。もっとも、おとぎ話としては良いものであることに変わりはないのだが。

 さて、新作。書店に並んでいるのを見ると欲しくなる。なるほど、という気づきが得られるようなことが書かれているかもしれないから。まぁいいや、と思って購入し、読んでしまう。なるほどなぁ、これもよいおとぎ話である。寓話なのだが、ナルホドという形出完結している。果たしてこれもビジネス書なんだろうかという気分になる。自己啓発というほどでもない。イソップ童話と同じカテゴリーに入れたい物語である。

 話が簡単なゆえに憶えてしまうところがある。ぼくが一番印象深かったのは、「持っているものを自覚しよう」というところである。何かがない、ではなく、今もっているものを知る。ある意味満足を知れ、というメッセージのようなものである。何かが欲しいと思った瞬間、自分は谷底にいる事になる。そして、峠を目指して登りはじめることになる。が、何かを持っていると自覚すると、今要る場所は峠になる。つまり、峠とか谷とかは、自分がどういう欲望をもっているかで変わる。絶対的な峠などない。

 そうだよなぁ。ある種の仏教説話のような気分になる。要するにそういうものなのだが、これをビジネス書として認めるかどうか。反資本主義的な内容でもある。というのは、成長しなければと思ったときに大変な毎日にから。

 よい本で、ぼくは好きである。ただ、それを読んでも何も進まない。というよりむしろ、立ち止まることを求めている。そうだよなぁ、で止まれる人と止まれない人がいるだろう。結局、立ち止まれない人はずっと大変な日々が続くんだろうなぁと想像し、ぼくは面倒なところにいなくて良かったと思ったりした。