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The Lost Symbol

Dan Brown
Bantam Press
お勧め指数 □□□□□ (5)

 ダン・ブラウンの新刊が出版された。ダ・ビンチコードがあまりにも面白かったので、次回作を心待ちにしていた。ただ、出版されたのは原著であり、翻訳ではない。

 出版すれば必ず売れるとわかっているのですぐにでも翻訳はでるだろう。といっても二,三ヶ月はかかる。角川から越後さんでだろうな。ひょっとしたら年末ギリギリくらいにあるかもしれない。まぁ、順当なところで一月だろう。うん、そんなに待てない。

 丸善に行ったとき、ダン・ブラウンの新刊のハードカバーを見つけ手に取った。不思議なことに表紙が2種類ある。内容は同一。なんでだろうと出版もとをみてわかった。アメリカ本とイギリス本のようである。でかいしぶ厚い。どうしようかと悩んだ結果、買ってしまった。というわけで、この本は原著で読んだ。五百ページちょっとの大作。通勤電車の行き帰りずっと読んでいたが、三週間かかった。ぼくがこれまで読んだ本の中で一番厚い「英文の本」である。といっても、辛く苦しい英文解釈ではない。ワクワクに満ちて、早く次の章を読みたい!と思わせてくれたから途中で投げないで読み通せたのだろう。

 ダ・ビンチコードの最後あたりに次はフィレンツェで事件が起きるというようなことが書かれていた。なので次回作はフィレンツェ中心だろうと思っていたが、ちょっと違う。いや、大分違う。。内容については、まぁ、ラングドンシリーズであり、例によってオカルト的な謎を理性で追いかけるというものである。ダ・ビンチコードでは誰でも知っているダ・ビンチの絵とキリストについて、隠された真実を暴くという仕立てになっていた。途中はどたばたがあって、ピンチがあって、まぁ読者を引っ張る力はすごかった。今回も同じようなテーマが動機にある。が、対象はちょっと違う。どっぷりとアメリカである。

 ダン・ブラウンはマイケルクラインのような作品を書くのかなと思いながら読んでいた。謎とサスペンスの作りはとても上手で、英文で読んでいる事を忘れてしまうくらいである。
 だがしかし、ダン・ブラウンはキリスト教とオカルトから離れられないようだ。だから、グラハム・ハンコック的なところがある。小説を書く動機や本人がもつ本旨的な疑問がそこにあるのならば、それはそれでいいような気もするが、それだと読者も限定されてしまう。それに、僕自身もどこまで読んでいいのやらと頭を傾げる。ぼくは好きだけど。

 最後の章に著者の本当に言いたい事がまとめられている。本書執筆の本当の動機なんだろうけど、その章は必要ないんじゃないか。著者としては、これが書きたくて小説を書いたのに、ダイレクトに主題を言っちゃまずいでしょ。だから、ぼくにはこの部分が空回りしてしるような気がした。

 翻訳者がこの本をどう扱うのか、とても楽しみである。そのまま訳すだけだと、日本の読者に伝わらないことが多い。西洋での常識をどうやって補足するのだろうか。その辺りが楽しみである。