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はじめての宗教論・右巻

佐藤優
生活人新書
お勧め指数 □□□■■ (3)

 新刊で平積みなっているとつい手にしてしまうタイプの新書である。著者は佐藤優さんだから読みごたえ十分だろう。結構売れているようで、平積みされた本のうちこの本の高さが低くなっていた。

 のっけからキリスト教についての解説があるかと思っていたら、まずは現在の日本社会での宗教についての解説から始まっていた。新興宗教についてかなと思っていたがそうではなく、「宗教」とは名のらない宗教についてのことで、オーラの泉とかそういうものが蔓延している今の世の中の風潮について解説されている。スピリチュアルだのなんだのは「女子供」が好きな血液型や星占いのようなものだと考えていたが、いやいやあれは宗教なんだということだ。なるほどわからんではないが、スピリチュアルなるものは宗教の3条件(ABC)が成立していないから、必ずしも宗教とは言えんだろうとぼくは思っている。

 宗教とは、見える世界と見えない世界をつなぐものだという話である。この理解は必ずしもこの本の主張を100%反映していないかもしれない。というか、神学やら哲学やらが関わってくる解説は読み流してしまうところがぼくにはあるで、この理解は間違っているかもしれいない。間違ったとまではいかなくとも、ピントがぼけているかもしれない。それでも、見えない世界が存在していると考え、その世界と見える世界との関係を考えていくと宗教というものが浮かび上がってくるという宗教理解は、さほど外れではないだろう。

 現代社会では見える世界が重要なのは間違いない。見えない世界は「古い」ものあるいは迷信として残っているだけ。そう考えるのは、市井の人の普通の「基準的」な考えであろう。いやそうではないと思っていても、見えない世界について声高に主張することは、その人の社会生活を円滑にすすめていくことに対してリスクを伴うはずである。表層的には見えない世界を語る・信じる=知能が低い・古くさいという図式がまかり通っているから。日本の宗教や仏教の儀式に参列する機会は少なからずあるが、それは「社会性」を考慮してのことであり、仏教なり神社なりの主張を「リスペクト」しての行動ではない。

 実際のところはどうだろうか。占いをはじめ、マスコミでは「見えない世界」への扉をやたら開いている。スピリチュアルは占いの延長や物語として扱われているはずなのだが、実はそのまま宗教効果をもっているとも言える。

 養老孟司さんの本に、現実とはその人の行動に影響を与えるものだ、という定義があった。とすれば、占いやスピリチュアルな行動の勧めを参考にして行動を変える人がいたら、占いの世界やスピリチュアルな世界は「現実」ということになるのである。ウエルカムトゥ宗教ということになる。

 そんなことを思い浮かべならが読み進めた。後半は佐藤優さんらしくキリスト教神学がちらちらしてくる。普通の人ならば、その説明の入り口をちょっと離れたところから観察して終わりにするよりない。佐藤優さんは前提とする知識体系がふつうの人には足りないから、そうするのはまぁ妥当なところだろう。

 左巻が出版されたら続きを読んでみようと思う。