美術で読み解く聖母マリアとキリスト教伝説
新約、旧約と読んだので、シリーズ最後のマリア伝説編に手をだした。ヨーロッパに旅行して現地で気づくのは、街中にあるマリヤ信仰の場所である。お地蔵さんは道祖神のようにマリヤさんの祠があり、イコンのようなものがかざってあるタベルナコロがあり、教会にかかげてある祭壇画がある。キリスト教じゃなくてマリヤ教なんじゃないか。そう思うくらいにある。この本は、そのあたりについて教えてくれるのかなと思って読んでみた。 しかし残念なことに、マリヤ信仰についての解説は結局のところほんどなかった。原ヤコブ福音書にある、という情報提供があるだけで、それがどうしてキリストよりもマリヤの方に人気がある(ように見える)のかについては、結局知ることが出来なかった。もっとも、美術についていの解説書だから、それでもいいのかもしれないが、がっかり感はがっかり感である。 著者がこの本を書いた動機は、マリヤ信仰よりも古代ローマ帝国時代のキリスト教信者の地下墓地であるカタコンベに書かれた絵を解説することにあったのかもしれない。そして、反ユダヤ主義について。気合いが入っているところは、どの2テーマだったようなきがする。 ローマのカタコンベには見学コースを回った事がある。すっかりと観光地化しており、不気味さなどまったくなかったが、まぁ、へんな場所であり、どんなに照明が整備されようとも薄気味悪さがただよう地下迷路ではあった。 カタコンベには壁画がいくつもあった。腐敗した死体が並んでいるなかで絵を描くなんてことをよくやったものだとは思う。秦先生は、カタコンベという異様な状況で書かれた絵にはどんなものがあり、何を主題にしているのかという解説してくれている。絵のテーマ解説は、以前朝カルでの講義で使っていたものだったけど。「これはダニエル記だ」とかいわれれば、なるほどとは思うが、でも実際のところを知りたいことはそうではない。なぜ、その絵なのか、その絵は何を意味しているか、人気があったのか、流行だったのか。残念なことにそんな視点からの解説はなかった。 こういう本を読めば一応は知識を知ることになる(すぐに忘れてしまうだろうが)。なるほど、そんな背景があったのか。そんなことを知るわけだ。 しかし、そんな知識を何かに役立てる予定はいまのところない。予定がないのに知りたくなるのだから、この本を読むには完全なる道楽である。一方で、この本は学者の研究資料としては不完全であり、たぶんそういう使い方を想定して書かれていない。だから、道楽のための本ということに何の問題もない。 自分でいうのもなんだが、休日の読書なんてのは、そういう道楽であるほうが楽しい。そして、日本にはそいう本には事欠かない。なんともよい国である。 |













