小説フランス革命〈5〉王の逃亡
半年ぶりにシリーズ続刊が出版され、続きを読んでみた。今回はルイ16世がパリから逃亡する物語。ヴァレンヌ事件について。有名なものなのだろうか、フランス革命についてそもそも知らないので、そんなことがあったのか、へぇという気分で読んだ。 佐藤賢一さんの小説の特徴だけど、小説の語りの視点はくるくる移動して、へんな気分になる。一体だれの思考過程を読んでいるか、という混乱はしない程に上手に語られているが、気を許すとなんだかわからなくなる。 今回はルイ16世の話だから、多くはルイ16世の思考をだとっている。彼は「おれは偉いのだ」ということを心の支えにして思考し、行動した。この本はそう伝えている。が、果たして本当はどうだったのかなどは全くっわからんだろう。人の心の中など、現代の人でも家族でもよくわからないもの。ならば、ルイ16世のことについて想像はトンチンカンだろうよ、ということではない。思考の裏付けを行動から追っているから。ルイの思考過程を想像し、感情の起伏を小説にするはありである。当然だが、教科書よりは遥かに面白いし、キーとなるイベントも記憶できてしまう。 佐藤賢一さんの書くような小説って、面白いけれど、司馬遼太郎さんのものとはまた違った意味で不安になるところもある。なんといえばいいか、人物が「軽く」なっているような気がする。言葉遣いが軽い部分は、考えているなかでのものに限定されているが、実際のところはどうなんだろう。言葉遣いがキレイな人の思考もキレイな言葉で構成され、進行しているのだろうか。 |
