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ぶれない

平山郁夫
三笠書房
お勧め指数 □□□□■ (4)

 「美の巨人達」という番組のなかでこの本の紹介があった。平山郁夫さんの絵の説明で「ぶれない生き方」についての引用があったのだ。その言葉はなんとも心に残り、もう若くもないわが身ながらも感心してしまった。そうだよな、がんばろうという気分になった。

 この本は買わねばならない。今でも「迷い」のなかにある自分なので、青年向けの本を読んでどうするのかという気分もするが、ここは一つ平山郁夫さんの話を聞いて見たい。ということで買ってみた。

 カラオケが上手な人よりも、自分の歌を歌い続ける人のほうが、結果的に生き残る。
「自分の絵を描くこと」を目指していた人がそう言うのならば、きっとそうなんだろう。その言葉の語り口からして、なんだか本当にそうなんだと思える気がしてきた。

 芸術家が持っているポリシーには、過激なものが多いが、この本での語りは平山郁夫さんの絵のように落ち着いた表現なので、ごく普通の人にもすんなり理解できるだろう。過激なことや驚くようなこと言って目立とうという意図がなく、ご自身の歩いてきた道を語ってくれている。

 成功する人のいうことは、岡本太郎は別として、同じようなことを教えてくれる。要するにそういうものなのだろう。ただし、だからといって、平山郁夫さんと同じようなポリシーをもち、同じくらいがんばって生きたけど、結果的にはうまくいかなかった人も結構いるのかもしれない。実のところどの程度「信憑性」があるのかははっきりしないのだけど、一つの物語としてはとても受け入れやすい。

 それにしても、世に名をなす人はそれなりに不幸な過去を持っているか、結果的に不幸な死に方をするのはなぜなんだろうか、とあらためて疑問になる。平山郁夫さんは、若い頃に広島で被爆し、原爆症を患っていた。そのとき、死ぬまでにはちゃんとした絵を描きたいと真剣に抱き、それが平山郁夫さんの絵のスタイルを獲得するきっかけとなっている。逆に言えば、そういう境遇を経なければ、スタイルを獲得できなかった。この本で紹介されている自伝部分を読む限り、そういう感じた。

 毎日を嫌な思いや辛い思いをせずに過ごしている自分には、平山郁夫さんのような生き方は結局は遠い世界の話のように思える。まぁ、可もなく不可もない人生ってのは、それはそれでいいような気もする。ぼんやりとそんなことを考えた。