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日出る国の工場

村上春樹+安西水丸
新潮文庫
お勧め指数 □□□■■ (3)

 なんだか不思議な本だった。村上春樹さんが社会見学をして、そこで知ったことなり感想なりをつづるという本で、読んでも得にも損にもならない行動記録ような記がする。つまらないわけではない。消しゴムやデザイナー・ブランドの服がどういうところで創られていくのかを初めて知ったから、僕にといっては面白かったけれど、興味がない人にはさっぱりかもしれない。

 すでに社会にシステムとして確立しているものは、商品を社会に安定して供給できるような仕組みがある。それは人体模型の工場でもそうだし、結婚式場のサービスもそう。お客さんという立場からみると「商品」という完成形しか見る事ができない。だから、なんだかしらないが「そういうものがある」ということに不思議さを感じないでいる。しかし、それを生み出す側に回ってみる、誰かが「作っている」という事実を知ることが出来る。逆に言えば、この人たちが付く慣れなければ消えてなくなってしまう、ということなのだ。どんなものでも誰かが作っているということに気づく。魚が切り身の形で泳いでいると思っていることどもをバカにすることは、社会全体でみると果たして可能なのか。もやは誰も全体を認識しているわけではない、ということに気づく良いきっかけになる本だろうと思う。