葬られた王朝
梅原猛さんって、もう84歳なんだそうだ。結構な高齢なのにまだまだ新説を発表する活力がある。すごい。 今回のテーマは古代日本にあっただろう出雲大国について。オオクニヌシたちが出雲を中心とした国をもっており、そこを現在の天皇系の人たちが奪いとったという話。関裕二さんや井沢元彦さんと同じ方向に梅原猛さんも行くことになったというわけだ。 梅原猛さんが学問としての日本史の定説に意義を唱えることはこれで初めてではない。それどころか、梅原さんの業績は「定説批判」にあったようだ(ぼくは不勉強な読者なので、梅原さんの著作は数冊しか読んでいない)。高齢にになっても、定説を批判し、自分の説を唱えるのはそれなりにバイタリティーが必要なことで、よくやるなぁ。批判される説には、ご自身が唱えた説も含まれているのだからすごい。 定説の批判が社会に広まるためには、著者が有名であることが実際のところ必要だろう。単に有名な人というだけではだめで、「この人ならば言いそうだな」という印象を持たれている有名人でないとだめ。なんでも自分で考え、論理で進んで結論に至ることをやるタイプの野蛮人的な人。梅原猛さんは、そんなキャラクターだから、ずっとやっていられる。 これまで関裕二さんや井沢元彦さんの著作で読んだものよりも説得力があった。視野が広いから。例えば井沢元彦さんの本では、出雲大社の構造や配置だけから「オオクニヌシは争いに敗れて死んだが、その怨霊を恐れたヤマト朝廷は大きな神社をつくった」ということに焦点があっていて、それで終わっていたが、この本ではいくつかの風土記の記述や地名、近隣の伝承などとの整合性もあわせていっている。ある種の推理小説を読むような気分が味湧けた。 |
