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新参者

東野圭吾
講談社
お勧め指数 □□□□■ (4)

 人形町が舞台の小説が出た。

 去年の暮れの出版だったと思う。TVドラマも人気のようで、似たような時間帯のドラマでは視聴率が一番らしい。

 直木賞もとった人気作家の作品だということで、できはどうなんだろうか。地元民が読んでも面白いのだろうか。そう思いながら読んでみた。

 なるほど、もろに人形町周辺の話だった。ぼくはこのタイプの小説を余り読んでいないので、大筋と周辺とを絡ませながら説いていくこの小説に新鮮味を感じた。

 嫌な気分がまったくないので気に入った。買ったはいいがまだよんでいない本として『容疑者Xの献身』がある。早速読んでみよう。

 
 ミステリー好きの人の『新参者』の評判良くない。

 その理由はわかる。全体が軽く、謎解きも軽い。別の可能性が見えたり、都合が良すぎるだろう。要するに、ディテールにリアリティーがない。そういうところだろう思う。

 読む前に耳にしていた評判はそういうものだったのでもう一つ読む気分にならなかったのが、ちょっと損をしたわけだ。ドラマがわりと面白いので読んだのだから、ドラマを見てなかったら読まなかったかもしれない。

 評判を鵜呑みにするのは怖いことだ。いろんなミステリーを読んでいる人は、ある意味幸せなことが減っているかもしれない。

 
 普段から買い物の街として人形町へ行く。ぼくには近所の散歩スポットである。

 小説に登場する店は、だいたい察しが付く。たぶんあの店かな、という場所がちらほらと小説に登場する。

 小説に登場する店のモデルはどれも見つかる。向かいが喫茶店とか、そういうところはだいたい正しいが、テレビドラマでは場所がちがっていたりする。

 いくら地理的なことが現実にちかいからといって、登場人物までは違うだろうが。小説にはほどほど、テレビドラマでは過剰なくらい「下町感」が漂っている。しかし、実際はそんなでもないのだろうなと思う。

 
 街にはいろんなお店で阿部寛さんがでかでかと印刷されたポスターがそこいらじゅうに張られていた。

 このドラマの影響はそれなりにあるようだ。最近更に混んできた。

 ここ数年、人形町には観光客の人が増えてきていたような気がする。

 小説を読んでいて、ピンと来ないところはいくつかあったが、浅草橋と小伝馬町が「すぐそこだ」という表現には少しまごついた。

 いや、そこまで近くないだろう。遠くはないけど、そこまで近くではない。何と比較して、ということなんだろうけど。

 全くとりとめのない感想である。