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日本人へ 国家と歴史篇

塩野七生
文藝春秋
お勧め指数 □□□□□ (5)

雑誌掲載エッセイの後編にあたる新書である

政治以外の話題が半分以上しめている。
ごく普通の市井の人で、かつ政治には無力感をもっているぼくにとっては、前編よりもずっとよい。
そりゃそうだろう。
ローマでの生活やイタリアのブランド品の実情話のほうが、だれだって愉快な気分になれるのだから。
わざわざ身銭を切ってまで政治のことなど聞いても人生の無駄遣いでしかないだろう。
そこまで思わなくも、政治ネタに目を通すのはヒマを持て余した時だけで十分。
少し狭隘なぼくのポリシーだが、そういう人は少くないだろうと思うが、どうだろうか。

政治エッセイとローマ生活エッセイを2冊並べて販売するとしよう。
どちらが結果的に売れるのか、それは内容次第のところがあるが、そうはいっても想像はできる。
書店でこの本の前編と後編を並べて平済みにしたら、おそらく後編のほうがずっと減っているだろう。

塩野七生さんのエッセイは政治を扱っているものが多い。
政治を語るにはある種の「強さ」が文章には必要とされる。
人を無理やり引き込み、それも強くひっぱり込み、日常生活を変えてしまうようなことにコミットさせる。
そのためには緊張感を持たせ、行動に走らせるような物言いのほうがいいのだろう。
それはそれで塩野作品には必要な味なのだが、たまには別の側面があってもいい。

この巻の内容で、楽しかったのはローマのワインバーの話、ブランド品の製作者は中国人集団であるという話、そしてローマの歴史遺跡散歩。
そういうものを読むと新鮮な気分になる。
日常生活というものか。
書店で購入した本を帰り道にワインバーに立ち寄る様子、そしてどんな風にワインを選ぶのかなど、ローマでの生活についての話になるほどと感心した。
ローマについての歴史が頭に入っている人で、在ローマ歴がない達人はどんな時間の過ごし方をするのだろか。
旅行で立ち寄る程度のことしかローマに滞在する機会がないであろう人だって、興味がわく話だろう。