同じ本を何度も読むことがある。
この本もその一つ。
もう4回目くらい。
結構厚い本で、読み通すのにも時間がかかる。けれど、どうしても読む必要があるという思いで読みはじめてしまい、最後まで読んでしまった。
内容は『夜ピク』の中年版だろう。
男女が歩きながら思索する物語だから。
歩きながらあーだこーだと話し合い、そうやって過ごした時間の流れを一日の中で振り返って観賞に浸ったりする。
あの夕焼けを見てたときからこんなに時間がたったのかぁ、みたいな。
登場人物は4人(男性二人、女性二人)。
それぞれに過去と謎を抱えている。
それぞれがもっている謎を小出しにしながら歩きつつ、みんなで語り合う。
それらの話は謎であり、過去への郷愁であり、現在の自分の生活の不思議さである。
だから語り合ったからといって必ずしも結論は見えてこない。
そして最終にゴールし、それまで歩いた道のりや場面場面での会話を、さらにはこれまで生きていた自らの人生をも振り返る。
やっぱりこれ、夜ピクじゃねぇか。
読みながら何度も確認したわけである。
じゃ、つまらないのか。
いやいや。
むしろ恩田陸作品の名かでもかなり面白い方だ。
ぼくにはお気に入り。
歩きながら思索するという形式は、森本鉄郎さんの旅の本に通じるものがある。
といっても、あちらは思索であるし、その対象は哲学だったり文学だったりと、もっと高い山の上の話である。
恩田陸さんのほうはもっと下世話なもの。
悪い意味では決してない。
恩田陸さんは森本哲郎さんの著作に若い頃憧れたらしいので、そういうところが混じっているのかもしれない。
などと勝手な感想をもってみる。
中年の男女が大学時代の恋人と再開して何を話すのだろうか。
ぼくにはとんと想像がつかない。
そういう経験はこれからもありそうもないから。
それでも興味だけはもっている。
歩いてくたくたになってそれで終わりだから健全な物語であって、そこが恩田陸さんの本の安心して読めるところである。
それぞれに生きて行くのは大変だな。
なんだか若者を鼓舞するような物語ではないが、その微妙な苦さのようなものが現実世界で生きるぼくを魅了しているのかとも思う。
そんなに人生楽しいことばかりじゃないってことか。